命の約束 第五章 命の約束(2)最後の別れ

スピリットファースト

プロローグ (1) (2)

第一章 人生の終わり
(1)2013年2月25日 早朝
(2)夢の中で・・・
(3)朝起きると死んでいました。
(4)死神?
(5)死んでも死なない?
(6)葬式の日
(7)生まれ変わっても一緒になりましょう

第二章 本当の終活
(1)神様って本当にいるの?
(2)運命の地図
3)生まれる前に決めてきたこと
(4)運命の地図が教えてくれること
(5)自分の最期を選択する
(6)地図を移行するチャンス
(7)愛の奇跡

第三章 戦いの終わり
(1)憎しみを引き受けてくれた人
(2)傷だらけの木
(3)癒された木
(4)真っ暗闇に落ちて

第四章 神様の正体
(1)神様がいる場所
(2)神様との対面
(3)人生の目的
(4)私という存在の正体
(5)新しい始まり

第五章 命の約束
(1)無言の帰宅

第5章 命の約束

2 最後の別れ

お葬式の朝、私は、自宅を出るときに一冊の小さなフォトブックを手に取った。

これだけは忘れずに母に持たせてあげたいと思ったからだ。

それは、父の還暦のお祝いで作ったフォトブックだった。

退職して第2の人生を始める父に、

みんなで思い出の写真に添えてメッセージを贈っていたのだ。

 

母は、結婚式の時の写真を準備していた。

若かりし頃の二人。そして、その横には、

「生まれ変わっても、また一緒になりましょう。」と書いてあった。

一冊は父が持っているから、これは私の分だったけれど

母にあげようと思ったのだ。妹からも頼まれていた。

 

今日が最後のお別れの日。

この本をあの世にも持って行ってもらおう。

大事にカバンに入れると、私と夫は家を出て、葬儀場へ向かった。

 

前日の夜は、葬儀場で通夜があり、たくさんの方が駆けつけてくださった。

父は、通夜の最後の挨拶は無理だと言った。

挨拶も難しいくらい落ち込んでいたのだ。

あんなに泣いた父を見たのは初めてだった。

何度も何度も、隣に寝ていたのに気づかなかったと悔しそうに話すので、私は胸が張り裂けそうだった。

 

本当は、通夜に喪主の挨拶はしないのだけれど、生前、母は祖父の通夜で、

「通夜にしか来れない人もいるから挨拶するべきだ」と喪主である叔父に言っていた。

そんな母だったから、自分の通夜の時だって、

きてくださった方へ挨拶をしてほしいだろうとわたしは思った。

 

でも、父は無理だというので、仕方なく通夜の挨拶は、私がすることに。

もう何を話したのか覚えていない。

昨夜のことなのに。そのくらい私もいっぱいいっぱいだった。

 

ただ、母が、どんな最期を迎えたのか、

母が大切に思っていた人にはちゃんと伝えたいと思ったことだけは覚えていて、

あの日の朝の出来事を話したことを覚えている。

 

でも、さすがに今日の挨拶は、喪主がしなきゃ。

父は大丈夫だろうか? そんな心配をしながら、斎場へ向かった。

 

父は、叔父たちと一緒に斎場に泊まり、

母との時間を惜しみながら最後の時間を過ごしていた。

少し落ち着いていたようだけれど、挨拶はやっぱり不安そうだった。

 

母の祭壇には、とびっきりの笑顔の写真が飾られている。

みんなで選んだ一番母らしい笑顔の写真だった。

きっと、母も喜んでくれているだろう。

 

親戚も沢山駆けつけてくれて、いとこたちが受付を担当してくれたので、

私たちは安心して葬儀が始まるまで、お客様へ挨拶することができた。

 

母の葬儀は、ありがたいことに沢山の弔問客で溢れかえっていた。

会場に入りきれないくらいたくさんの方が来てくださったのだ。

 

私はこの日、母が生前、どれだけの人に愛されていたのかを知ることができた。

そしてそれは、母が生前、それだけたくさんの人を愛していたからだと思った。

たくさんの人に見守られながら葬儀は終わり、

父はしっかりとお礼を述べ喪主の役割を果たした。

きっと母も安心しただろう。

 

最後のお別れの時、私は、例のフォトブックを母の手元に置いた。

「生まれ変わっても、また一緒になりましょう。」

神様がいるかどうかはわからないけれど、

次にまた生まれ変わる時は、この願いだけは叶えてほしいと思った。

きっと父も、それを望んでいるだろう。

 

みんなの悲しみと涙に見送られながら、大きなクラクションが鳴り、私たちは、火葬場へと向かった。

 

母は、今、どうしているのだろう。

自分のお葬式を、どこかで見ていたのだろうか。

母のことだからきっと見ていたんだろうな。

 

私は、母が暗闇の中ではなく、天国へ行けるように祈った。

神様、明日が来るなんて約束してくれていないのであれば、

突然そちらへ逝ってしまった母のこと、よろしく頼みますよ、でないと恨みます。

 

そんなことを思いながら、私は車の中から空を見上げた。

見上げた空は、母が亡くなった朝と同じで、やっぱり今日も青かった。

ライフコーチ 大津真美

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長崎大学教育学部小学校教員養成課程(教育心理学専攻)卒業後、福岡県久留米市内の精神科病院にて心理士として一年半勤務。その後、セラピストとして10年活動しイン...

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