命の約束 第五章 命の約束(1)無言の帰宅

スピリットファースト

プロローグ (1) (2)

第一章 人生の終わり
(1)2013年2月25日 早朝
(2)夢の中で・・・
(3)朝起きると死んでいました。
(4)死神?
(5)死んでも死なない?
(6)葬式の日
(7)生まれ変わっても一緒になりましょう

第二章 本当の終活
(1)神様って本当にいるの?
(2)運命の地図
3)生まれる前に決めてきたこと
(4)運命の地図が教えてくれること
(5)自分の最期を選択する
(6)地図を移行するチャンス
(7)愛の奇跡

第三章 戦いの終わり
(1)憎しみを引き受けてくれた人
(2)傷だらけの木
(3)癒された木
(4)真っ暗闇に落ちて

第四章 神様の正体
(1)神様がいる場所
(2)神様との対面
(3)人生の目的
(4)私という存在の正体
(5)新しい始まり

第五章 命の約束

無言の帰宅

霊安室で父は、母の死に呆然としながらも、必要な手続きを済ませ葬儀の手配もした。

悲しみに暮れても、時間は止まってはくれず、私たちはそう長くしないうちに霊安室を出なければならなかったのだ。

止まっている時間は、私たちの時間だけで、世間も病院も普段どおりに時が流れていた。

 

私たちは、ここからすぐに葬儀場へ向かうこともできたが、父は一度母を家に連れて帰りたいと言った。

私も、それに賛成だった。きっと母も帰りたいに決まっている。

通夜を明日の夜にしてもらい、今日は、一旦自宅へ帰ることにした。

私は、母を迎え入れるために、後から駆けつけた妹と一緒に一足先に病院を出て車を走らせた。

私たちが家について、母を迎え入れるための準備でバタバタしていると、そう長くしないうちに、母を乗せた霊柩車が自宅に到着した。

母の無言の帰宅。

座敷の仏壇の前に布団を敷いて、その上に数人がかりで母を寝かせた。

駆けつけたお坊さんに枕経をあげてもらい、やっと私たちは、母の死を実感した。

 

母も、一緒に帰ってきたのだろうか? 

もう状況を飲み込めたのだろうか?

母は、大丈夫だろうか?

そんなことがふと頭をよぎったが、帰宅してからは、悲しむ時間がないくらい忙しかった。

次々に母の訃報を聞いてお客様が自宅へ来てくださり、お茶を出したり、食事の準備をしたりとバタバタしていたのだ。

地域の人や叔母たち、いとこ達が手伝ってくれた。

父は、葬儀の打ち合わせ。決めることが沢山ありすぎる。

突然の死を受け止める間もないまま、私たちは動いていた。

悲しみに浸る時間なんてなかった。

全てが落ち着き、やっと静かになって、母をみんなで囲んだのは、もう夜の10時を過ぎていた。

長い長い一日。

人生で最悪の一日だった。

今夜は、母が寝ている仏間に父も私も妹も主人も布団を敷き、一緒に寝ることにした。

線香を切らさないようにとのことだったので、誰かが交互に起きて線香の番をする。

家族だけの静かな時間になってからやっと私たちは泣くことができた。

最後の時間。

母の亡骸を前に、私たちは、母との思い出を語り明かした。

母も、この場にいるのだろうか。

母は、大丈夫だろうか。

ちゃんと天国に行けるのだろうか。

成仏できるのだろうか。

 

悲しみの中で、母のことが一番心配だった。

父は、涙を堪えながら「お母さんのことやっけん、大丈夫さ。」と言った。

母がいなくなったという実感は、まだ湧かない。

でも、目の前には抜け殻になった母がいる。

そう、そこに母の体はあったけれど、もう母はいなかった。

母は、どこに行ってしまったのだろう?

いなくなった母の存在の大きさを私たちはきっと、これから感じて、その都度悲しみを味わうのだろう。

そんなことを感じながら、寂しさと悲しさと痛みを胸に、この日は母の横で眠った。

 

ライフコーチ 大津真美

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長崎大学教育学部小学校教員養成課程(教育心理学専攻)卒業後、福岡県久留米市内の精神科病院にて心理士として一年半勤務。その後、セラピストとして10年活動しイン...

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