第一章 人生の終わり 〜4.パラレルワールド〜

◀︎3.運命の地図

胸の前で合わせた両手を開くと、今度はキラキラ輝く透明のファイルが現れた。

「これがあなたのために用意された運命の地図です。」

彼女にそう伝えると、私はそのファイルを地面に広げた最初の運命の地図の隣においた。そして、ゆっくりとファイルを開いた。すると、開かれたファイルから次々と美しい天女の衣のような紙が溢れてきて、あっという間に光を放つ透明な紙の山ができた。一枚一枚の地図はキラキラと光を放って、その光は七色に輝いてとても美しい。

「これがあなたの運命の地図です。本当はもっとたくさんあったのですが、今のあなたに関わる地図だけ用意しました。」
「こんなにたくさん?!」
「そう、こんなにたくさんの運命の地図があるんです。だから、あなたの人生は、決まっているようで、決まっていないのです。私たちは、あなたのこのたくさんの運命の地図にあるそれぞれの世界を『パラレルワールド』と呼んでいます。」

彼女はその量に驚いて開いた口が塞がらないようだった。
「びっくりしますよね。膨大なデータなので。ほら体にいるときは、この地図の上を歩いているので、目の前にあるものや目の前で起こることしかわかりませんが、こうして体から意識が自由になると、過去も現在も未来も関係なく、全体を見渡すことができます。あなたが選んだこの一枚の地図だけじゃなくて、ここにある全ての地図を確認することができるので、あなたは、これだけの地図から自分の人生を選ぶことができるのです。」

彼女は、信じられない!という表情で、目の前に積み上げられた運命の地図の山をじっとみつめていた。
「つまり、私のこの人生には、これだけの可能性があるということね?」
「そうです。その通りです。これらの地図に描かれていない人生は、あなたの心に浮かんでくることはありません。心に浮かぶ未来のビジョンや願いは、これらの地図のどれかに描かれた未来であり、あなたはその未来へいくと決めさえすれば、その運命の地図へと移行していくことができるのです。」

目の前に山積された地図の中から一枚手に取った彼女は、その運命の地図が描く今とは違う人生を確認していた。私は話を続けようとしたが、彼女の楽しげな様子を見て言葉を飲み込んだ。実は、運命の地図にはとても重大な秘密があった。地図に描かれた結末に関する秘密だ。私は、それについて話しておかねば・・・と思ったが、それはとても残酷なことだったので、楽しげに地図を見ている彼女に言うのを躊躇ったのだ。もしかしたら、地図を確認しているうちに彼女自身が気づくかもしれない。できれば、自分で気づいて欲しかった。いつもこのことを伝えるのが一番辛い仕事だったからだ。私は彼女が地図の秘密に気づくまで黙っておくことにした。

しばらくの間、地面に散らばった運命の地図をかき分けていた彼女は、何かが気になったようで急に手を止めこう言った。

「レイ、運命の地図がこれだけたくさんある、っていうのはわかった。そして、これだけたくさんの可能性が私の人生に用意されていたんだっていうことも。でもさっきあなたはこの地図がファイルから溢れ出したときに、今の私に関係のある分だけ用意したっていったわよね。それって、他にもまだ私のための運命の地図があったっていうこと?」

そこを聞き逃さなかった彼女にびっくりしながら、まだ彼女が秘密に気付いていないことにホッとした。私はにっこり笑って、再び地図についての説明を始めた。

ホリスティック・ライフコーチ 大津真美

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